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コラム
2023/3/22
CES2023注目すべきニューロテック企業5選

 

世界最大級のハードウェアの見本市であるCESでは大企業からスタートアップまで幅広い分野で企業が集まる。コロナ禍が収束したということもあり、今年の CES2023 では昨年の CES2022 に比べ、より多くの企業が出展し、その勢いは盛り上がりを見せていた。

 

ニューロテック領域でもその勢いは健在している。

今年 1 月に行われた CES2023 には、およそ 35 社以上のニューロテックスタートアップが出展していた。

 

NeurotechJP チームは CES2023 現地に訪れ、各企業へのインタビューを行った。

本記事では、その中でも特に注目すべきだと思われる企業 5 選を紹介する。

 

また、本記事で紹介する内容は「CES2023 ニューロテックレポート」の一部を抜粋したものであり、全編をご覧いただきたい場合はこちらのフォームからお問い合わせ頂きたい。

 

1. Alphabeats

Alphabeats はオランダ発のスタートアップで、アスリート向けにニューロフィードバックを用いたメンタルトレーニングを提供する。 選手はヘッドバンド型の EEG デバイスを装着し、好きな音楽を聞く。その際の EEG を取得しニューロフィードバックを行うことで、 メンタル面にて鋭敏さと集中度を向上することができる。

同社はスポーツクラブへソリューション提供しており、クラブのコーチは選手のメンタルパフォーマンスを分析し改善することができる。

大手電機製品である Philipsや、スマットウォッチを提供するGarminとも提携をしている。

alphabeats 写真: Alphabeats at CES2023

 

注目すべき点

同社は Garmin 社など大手デバイス機器会社と業務提携したことから、ハードウェア企業と連携しつつソフトウェア基盤の開発に力を入れていくことが予想できる。 そのため、サービスのスケーラビリティが高く、アスリート以外の分野に展開するなどビジネス面での横展開も予測される。

 

2. Wisear

Wisear はフランス発のスタートアップで、”Wisearphone”という In-Ear 型の BCIを提供している。Wisearphone は脳、目、顔の筋肉からの信号を取れる電極が二つ設置されていて、ノイズ処理アルゴリズムとインプットメカニズムを開発している。

デバイスコントロールに集中して開発を進めている会社でハンズフリー機能をユビキタス化する事を思い描いている。現在は主にAR でのパートナーシップを組むことを進めているそうだ。

将来的に EOG(目の動き)や EEG(脳波など)の信号を取り入れたインプットメカニズムも提供するであろう。

Wisear 写真: Wisear デモ at CES2023

 

注目すべき点

Wisear は Human-Computer Interaction(HCI)の分野で戦っている会社であり、 使いやすいインプットメカニズムの開発を一番に心掛けてる。ハンズフリーやカスタム設定など HCI の研究を生かした戦略に注目である。

 

3. REVAI

REVAI は、カナダ発のスタートアップで、経頭蓋迷走神経刺激手法を可能にする電極と AI プラットフォームを開発する。同社は刺激部分の開発に特化しており、刺激電極と刺激プラットフォームを サブスク型でイヤホン会社に提供する、B2B2Cのビジネスモデルのスタートアップだ。 Neuro Modulation は片耳だけで行い、1 日 15 分のセッションで集中力といった Wellness を向上させることを目指している。

モントリオール大学、トロント大学、 UC San Diego、McGill 大学などと共同研究をしており、科学的な知見に基づいた刺激手法の確立が期待される。

REVAI 写真: REVAI at CES2023

 

注目すべき点

自社で電極を開発している点と、 コンシューマープロダクトでなく技術をイヤホン製造会社に提供するというB2B2C モデルに将来性を感じた。 Neurotech のデバイスの基本構造は脳波や生理信号を計測し、それらを解析することで効果を発揮するため、いかに長時間ユーザーに使用してもらうかが非常に重要である。そのため、 大手イヤホン会社と業務提携し効率よくデータを集められることは、とても強みだと言える。

 

4. Earable

Earable は、米国発のスタートアップで、神経活動をモニターし、 睡眠状態や集中/リラックス状態の改善・向上を行うウェアラブル脳波計( FRENZ Brainband)を開発する。

FRENZ Brainband では、額に接触する部分に 5 つのセンサー、両耳の後ろあたりに各 1 つのセンサーの合計 7 つのセンサーを搭載している。 また、骨伝導によって音の刺激をすることが可能となっている。

さらに、コロラド大学ボルダー校の科学者による 8 年間の研究開発を経て、機械学習アルゴリズム、材料科学、電気工学において複数の賞と15 以上の特許を保有している。

Earable 写真: Earable デモ at CES2023

 

注目すべき点

Earable が非常に優れているのは、 睡眠中のリアルタイムフィードバックが可能で直接睡眠の改善を促している点 である。睡眠改善を目的とした製品・サービスはたくさんあるが、睡眠に関するスコアの確認やマインドフルネスなどでの間接的な改善にとどまることが多い。そんな中、Earable のサービスは骨伝導による睡眠中にフィードバックを可能にし、 ユーザーが労力をかけることなく改善を促している。

 

5. Wearable Devices

Wearable Devices Ltd は、イスラエル発のスタートアップで、Mudra Band と呼ばれるEMG センサーの付いたSmart Watch 用のバンドを開発している。

EMG センサーの付いたバンドは数多く存在するが、 Wearable devices の Surface Nerve Conductance と呼ばれる技術を用いることで、従来のモデルよりも大幅にアーチファクトの少ない EMG を計測することを可能にした。

これにより、従来の EMG センサーでは成しえなかった、 本人の意思で動かした EMG のみを計測することができるため、より精度の高いデバイスコントロールが期待される。

Wearable Devices 写真: Wearable Devices デモ at CES2023

 

注目すべき点

自らの意志で動いた際にのみ EMG が検出されるという点は、ただのノイズ除去だけでなく、次世代のデバイスコントロールにつながる可能性がある。そのため、このデバイスはユーザーの操作しようとする意図を評価でき、これを用いることでより 直感的なデバイスコントロールが将来実現 されると考えられる。 また、この技術を用いて得た知見から、どのような電気刺激を与えれば、実際に自分の手を動かしているような感覚になるかというフィードバック側のデバイスコントロールにも関係してくるため、この技術は非常に将来性が高い。

 

CES2023 ニューロテックレポート販売中

本記事では、CES2023 で出展していたニューロテックスタートアップのうち 5 つをピックアップして紹介した。

「CES2023 ニューロテックレポート」では、この 5 社のより詳しい解説に加え、その他の注目すべき企業についても同様に紹介をしている。

CES2023 ニューロテックレポート

 

本レポートにご興味ある方は是非こちらのフォームからご連絡いただきたい。

https://neurotechjp.com/jp/slides/ces-2023/

ライター

Hayato Waki